ここ1〜2年で、AIによるコーディングは急速に進化しました。
「もうコーダーはいらない」
「HTMLやCSSはAIが全部書いてくれる」
そんな意見を目にすることも増えました。
実際、AIを使えばかなりのコードを書いてくれますし、私自身も日々活用しています。
それでも、現役コーダーとしては「まだAIだけでは難しい」と感じる場面が多くあります。
今回は、その理由をWeb制作の現場目線でお話しします。
「AIでコーディングできる」は間違いではない
まず、「AIでコーディングできる」という意見は間違っていません。
例えば、
- 管理画面
- 社内システム
- ダッシュボード
- 一般的なフォーム画面
のような、決まったパターンのレイアウトであれば、AIはかなり高い精度でコードを生成できます。
実際に私も、単純なUIや部品の作成ではAIに助けられることが多くあります。
Web制作は「デザインを再現する仕事」
一方で、私が普段担当しているWeb制作は少し事情が違います。
仕事の多くは、デザイナーが作成したデザインをブラウザ上で忠実に再現することです。
一見すると、「デザインデータをAIに渡せばコードを生成してくれるのでは?」と思うかもしれません。
しかし、実際にAIで生成したコードを見てみると、
- デザインと細かい部分が違う
- 余白や文字サイズが微妙に異なる
- 画面幅を変えるとレイアウトが崩れる
- iPadなど特定の端末で不自然な表示になる
といったことがまだ少なくありません。
もちろん、ある程度のコードは生成してくれます。
しかし、そのまま納品できるレベルかというと、私の経験ではまだ難しいと感じています。
コーディングは「調整」の仕事でもある
コーディングは、デザインデータをコードへ変換するだけではありません。
実際には、
- PC
- タブレット
- スマートフォン
など、さまざまな画面サイズで表示を確認しながら調整を繰り返します。
「この画面幅なら余白を少し狭くした方が自然」
「iPadだけレイアウトを少し変えた方が見やすい」
「この要素は折り返さない方がデザインに近い」
こうした判断を積み重ねることで、どの端末でも違和感のないWebサイトになります。
デザインデータには書かれていない部分を補いながら仕上げていくのも、コーダーの仕事だと思っています。
特にスクロール演出は、まだAIだけでは難しい
最近のWebサイトでは、スクロールに合わせた演出も珍しくありません。
例えば、
- スクロールすると画像がふわっと表示される
- 横スクロールのような演出を入れる
- 複数の要素をタイミングよく動かす
- セクション全体を使ってストーリーのように見せる
といった実装です。
AIにお願いすると、それらしいコードは生成してくれます。
しかし、実際に動かしてみると、
- スクロール量が合わない
- アニメーションのタイミングがずれる
- 横スクロールが途中で破綻する
- スマートフォンやiPadで意図しない動きになる
ということがよくあります。
特に、サイトごとにオリジナルの演出があったり、前例の少ない実装だったりすると、AIだけで完成させるのはまだ難しいと感じています。
結局は実際に画面を見ながら、
「ここはもう少し早く動き始めた方が自然かな」
「このスクロール量の方が気持ちいいな」
と何度も調整して仕上げることになります。
アニメーションは「気持ちよさ」を作る仕事
アニメーションは、動けばいいわけではありません。
例えば、
- イージング
- 動く速さ
- 動く距離
- 表示されるタイミング
これらを少し変えるだけで、サイト全体の印象は大きく変わります。
「なんとなく気持ちいい」
「自然に感じる」
そんな動きを作るには、実際に何度も確認しながら微調整する必要があります。
この部分は数値だけでは決められず、人の感覚や経験が大きく関わる仕事だと感じています。
AIはライバルではなく相棒
だからといって、AIを否定したいわけではありません。
むしろ、私はAIのおかげで開発スピードは大きく上がったと感じています。
コードのたたき台を作ってもらったり、エラーの原因を一緒に考えてもらったり、実装方法のアイデアを出してもらったりと、今ではなくてはならない存在です。
ただ、AIが生成したコードをそのまま公開することは、私の仕事ではほとんどありません。
最後は人が確認し、調整し、品質を高める工程が必要です。
だから私は、AIはコーダーのライバルではなく、優秀な相棒だと思っています。
まとめ
「コーディングはAIに任せられるのか?」
私の答えは、
「AIはコーディングを大きく助けてくれる。でも、Web制作で求められる品質を実現するには、まだ人の判断や調整が欠かせない。」
です。
AIはこれからさらに進化していくでしょう。
それでも、デザインを忠実に再現し、さまざまな端末で美しく表示し、気持ちの良いアニメーションまで含めて仕上げる仕事は、現時点ではまだ人の価値が大きいと感じています。
だから私は、AIに仕事を奪われることを恐れるのではなく、AIを使いこなせるコーダーでありたいと思っています。

